Robert Fritz in Japan

ロバート・フリッツ 

2021年 来日イベント情報

2018年の秋、私にとって夢のような出来事がありました。ロバート・フリッツ夫妻の初来日です。

ロバートは1992年に著作で知り、2002年にバーモントのロバートの自宅で初めて会い、それ以来ずっと私の仕事や生活のバックボーンとなった創造プロセスや構造思考を教えてくれた偉大な先生です。ロバートの妻ロザリンドは、構造コンサルティングの認定プログラムを教えてくれている、やはり偉大な先生です。

2018年の初来日は大成功でした。たくさんの人たちがロバートやロザリンドから直接教わり、他では決して得られない学びを得て、私がそうだったように、その後の仕事や人生に大きな変化をもたらすことにつながりました。

2019年は2度目の来日、1年目にロバートを知った人たちに加えて、新しい人たちが合流し、さらに素晴らしい体験になりました。

2020年も来日を計画していましたが、急遽計画を変更し、全てzoomによるコース提供になりました。

そして今年、2021年10月、ロバート・フリッツ夫妻が再来日します。

zoomのコースもとても充実していましたが、ロバートやロザリンドと同じ部屋で学べるのはやはり特別な学習体験です。

今年は、

Your Life as Art
(去年の日本語版出版を機にできた新しいコース。ロバートが教える)
FST
(ロバート定番の創り出す思考 Fundamentals of Structural Thinking)
SCCP
(創り出す思考を受講済みの人が構造コンサルタント認定を受けるためのトレーニング。ロザリンド・フリッツが教える)

の3つの一般向けコースを開催予定です。

それぞれ

YLA 10月10日・11日・12日
FST 10月13日・14日・15日・16日
SCCP 10月18日・19日・20日・21日・22日

の日程で、会場は全て東京・港区の国際文化会館の予定です。

また、ロバートは滞在中に企業などの組織のコンサルティングやトレーニングも請け負います。

ロバートもロザリンドも来日を本当に楽しみにしています。

田村洋一

Your Life as Art

国際文化会館(東京 港区 六本木)
2021年10月10日〜12日(3日間)

創り出す思考

国際文化会館(東京 港区 六本木)
2021年10月13日〜16日(4日間)

SCCP

国際文化会館(東京 港区 六本木)

2021年10月18日〜22日(5日間)

創造プロセスと構造思考

ワークショップ主催・通訳    田村洋一


ロバートは多くの人たちが呼ぶところの天才です。ロバートを師匠と呼ぶピーター・センゲは、学習する組織やシステム思考の発展過程でロバートの明晰な思考と実践が決定的な役割を果たしていると言っています。実際にThe Fifth Discipline(邦訳「学習する組織」)などの著書や論文で展開されているキーコンセプトのいくつかはロバートによる構造思考に源流があります。

多くの人が複雑さを前に立ちすくんでしまう時に、ロバートは常に創造的なアプローチをとり、比類のない成果を上げています。もともと作曲家であり、音楽のプロとしてのバックグラウンドを持ちながら、企業組織のコンサルティング、芸術家のトレーニング、映画の製作・監督など、さまざまな分野での活躍は、ロバートが狭い分野の専門家ではなく、創造という広い世界のプロであることを物語っています。

また、ロバートは素晴らしいコミュニケーターです。多くのクリエイターやアーティストが作品を作ることに秀でていながら、その方法を説明できないというのとは対照的に、ロバートは創造プロセスを明るみに出し、これでもかというほど具体的にその方法を指し示してくれます。自分でやるだけでなく、やり方を紐解いて他の人に見せて教える名人でもあるのです。これはなかなかできることではありません。

「創造プロセスは人類が発明した中で最も成功した方法だ」とロバートは喝破します。創造プロセスは芸術家や製作者など一部の人たちの専売特許ではなく、私たち人類全てに開かれたフリーウェアなのです。ロバートはその発見を惜しげもなく共有してくれます。

私がロバートの考え方に出会ったのは今から30年前です。それはこれまで知っていたどんな方法とも異なる画期的なアプローチでした。

世の中のほとんどの人が問題解決にかまけている時、ロバートは常に創造の視点で考え、創造の方法を示します。世の中のほとんどの人が状況に埋もれて四苦八苦している時、ロバートは常に構造的に考え、「母なる構造」(Mother Structure)を味方につけて創り出したい結果を創り出します。世の中のほとんどの人が複雑さや不確実性に圧倒されている時、ロバートは常に明快な方向を見出してくれます。

私がロバートと奥さんのロザリンドに米国バーモント州の自宅で出会ったのは、今から18年前の春でした。たまたまその半年後に会社勤めを辞めて独立し、メタノイア・リミテッドという自分の会社を設立することになるのですが、その時はまだそんな計画はありませんでした。ロバートの構造思考(structural thinking)が私の独立事業を力強く支え、推し進めてくれたことは言うまでもありません。

私がその時にバーモントの美しい緑と山の中で教わった構造思考の基礎(Fundamentals of Structural Thinking)を今年10月のワークショップで教えてもらいます。ロバートと並んで素晴らしい教師であり、独自のスタイルとスキルを備えたロザリンドにも教えてもらいます。このトレーニングに参加した人に私が期待していることがいくつかあります。

まず第一に、学んだことを自分自身の人生やキャリアにすぐに活かしてほしい、ということです。これは私が言うまでもなく、おそらく全ての参加者がそうするだろうとは思っています。しかしあえて強調したいポイントでもあります。

何かを創り上げる。そのプロセスそのものが人を元気にします。逆境においても順境においても、創りたい何かを創り上げる。雨の日も風の日も、晴れた日も曇った日も、創りたい何かを創り上げる。それが創作者の人生であり、生活であり、仕事です。自己マスタリーが全ての基礎です。

第二に、これを組織や社会を変えるために創造的に使ってほしい。ロバートの教える創造プロセスは、国際機関や政府機関、途上国の開発や都市計画、地域社会の活性化、企業の組織開発や人材育成、芸術活動、教育現場など、ありとあらゆる社会や組織の現場で活用され、大いなる成果を上げています。

このトレーニングに参加する皆さんの中には、すでに企業の要職に就いていたり、コーチやコンサルタントという立場で組織や集団を支援したり、あるいはそれぞれの専門分野で活躍している人が多いと思います。すでに創造的な成果を上げている人も少なくないでしょう。しかし創造プロセスや構造思考を学んだら、今までやっていたことが小さく見えるほどの視野の広がりを体験することになります。そして創造していく力が自分に備わっていること、ロバートのような天才だけの特権ではなく、普通の人たちが普通の能力を使って偉大なことを成し遂げることができるのだと学べることを保証します。

最後に、学んだことをぜひ仲間や友人や近くの人たちと分かち合い、ともに学んでほしい。創造プロセスと構造思考は、ひとりでいつでも使える道具です。たったひとりでも組織を変え、社会を変え、自分の創りたいものを創り始めることができます。世界をどのように見て、どんな構造にしていくか。創造思考は無敵と言っても言いすぎではありません。

しかし大きな仕事はひとりで完成するものではありません。いつも仲間や同僚と力を合わせ、知恵を集めて協働するものです。大きな協働作業をする際に本領を発揮するのが創造プロセスなのです。皆が同じビジョンを描き、同じリアリティを見て、分業し、協働していく。その時の共通言語が構造思考です。

ロバートに学んだ仲間たちが、日本中や世界中に散らばり、それぞれの世界で創り出したいことを創り出していく。それが私のビジョンです。

日本の皆さんへ

(2018年1月インタビュー)

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人は考えることを学べるのでしょうか。

構造思考を教えている私たちの答えは、明快なイエスです。

私たちは30年以上にわたって構造思考を教えてきました。構造思考を学ぶのは、ある意味でシンプルなプロセスです。物事が構造的にどのように関連しているのかを理解することから始まります。複数の要素がどう関連し、どんな構造をつくっているのか。それがどのようなパターンや一貫した行動を生むのか。たとえば、「空腹」は「食べる」という行動を生みます。空腹を引き起こしているのは、実際に体内にある食べものの量と、身体が欲している食べものの量との差です。差は緊張をつくり、緊張は解消に向かおうとします。何かを食べれば、空腹、つまり望む状態と現実の状態との間に生じた緊張は解消されます。望む状態と現実の状態が釣り合ったからです。

ここでいう「緊張」は言葉の綾ではなく、動的な力です。物質的な世界でも非物質的な世界でも働いている力です。たとえば、なぜジェット旅客機が空を飛べるかと言えば、ベルヌーイの法則が作用しているからです。この作用は、翼の上面と下面で気圧に差があるときに生じます。緊張を解消するために、飛行機は空に浮くのです。

思考の話に戻りましょう。ほとんどの人は構造思考をしていません。状況思考をしています。私たちはずっと、目の前に起こる状況に反応したり対応したりすることを学んできました。私たちがなぜその状況になっているのかをほとんど理解していないのは、いつもの思考癖のためです。人がしているのは「ああしたからこうなった」式の思考です。「なぜこうしたの?」「その前にこれがあったから」。「なぜそうなったの?」「その前にあれが起こったから」。この調子で、いくらでも遡っていけます。

ときに、状況が引き起こすパターンを見出す人たちがいて、これは一歩前進です。と言っても、現実を見るのにより見晴らしがいい場所を見つけただけで、構造的な観点からの因果関係はさっぱりわかっていません。

緊張は常に解消に向かうと知ることが決定的に重要です。これは物理的な現象で、構造は均衡を求めるのです。「不均衡」状態になった途端、構造内部で変化が起こり、均衡を達成するまで動き続けます。ただし全ての構造が均衡を達成できるわけではありません。
たとえば、あなたが今お腹が空いているとすると、一般的には食べるという行動が引き起こされるでしょう。これは単純な「緊張-解消」システムです。もっと複雑なシステムもあります。相反する「緊張-解消」システムが競合していて、葛藤を生み出しているのです。あなたはお腹が空いている。だから食べる。でも、もしあなたが太りすぎだったら、望む体重と現実の体重との間に差があることから、別の緊張が生じます。

この構造がどのように作用するか見てみます。

あなたはお腹が空いています。だから食べます。でも食べたことで体重が増えてしまうため、ダイエットしようと思い立ち、身体が求める量よりも少なく食べることにします。減量に成功し、緊張が解消されると、あなたはまた食べ始めます。そしてまた体重が増えてしまいます。実際にはもっと複雑な葛藤があるのですが、ひとまず今の理解のためにはこれで充分です。食べるのが楽な時期と、ダイエットが楽な時期を繰り返します。実際のところ、ダイエットに取り組んだ人のうち80%が最終的にはダイエット開始前よりも体重が増えてしまうのです。

そんなパターンに陥ってしまう人は、自分のことを「意志が弱い」とか「性格に欠陥がある」などと考えてしまいます。しかし実際に起きているのは、揺り戻し構造によって引き起こされる揺り戻しパターンです。揺り戻し構造では、ある方向への動きは、逆方向の動きを誘発し、ロッキングチェアのように行ったり来たりしています。

状況思考で考えていたら、その場で生じている構造力学を理解することは決してありません。そうなると、あれこれと理論を持ち出してきて推測するしかありません。たとえば、両親との関係のせいだと考えたり、自分は他者から愛情を受けるに値しない人間だと考えたり、だから太ることで愛情から遠ざかろうとしているんだと考えたり、あるいはバーストラウマ(出産時の心的外傷)のせいだと考えたりするのです(もしトラウマがあったのなら)。

心というのは、緊張を一刻も早く解消したいのです。問いがあれば答えを求めます。ところが、心はとにかく答えが早く欲しくて、目の前に現れたよさそうな答えに飛びついてしまいます。正しいかどうかは関係ありません。慣れ親しんだ憶測で十分です。真実を探ることも、正確性や的確性を追求することも放棄することで、心は容易に緊張を解消した感覚を得ることができます。これは悪しき習慣です。

人は「出来合いの回答」をいつでも持ち歩いています。観念や思い込みのかたまりです。いわば、心のための答えを集めた個人用のデータベースです。答えのない問いや、謎、困惑、その他あらゆる種類の緊張が発生したとき、引けばパッと答えを出してきてくれる回答集です。緊張は常に解消に向かうのです。緊張が生じたその瞬間に、緊張を解消すべく、その人の観念や思い込みが総動員されます。これは正しい答えが導き出されることを意味しません。けれども、構造として、どんな答えであっても答えが得られれば人は気分が良くなります。そして実際に何かを知っているという感覚が得られます。いわゆる「そうか!」という気づきの体験は、たいてい自分が「正しい」答えを得たと感じたときに得られるものです。

問題は、その「正しい」答えが、ほとんどのケースであらかじめ頭の中に用意されていた観念や思い込みに合致するものだということです。別の言い方をすると、「そうか!」という気づきの体験は、もともと自分が考えていたことの正しさを「発見」することだとも言えます。実のところ、本当に正しいことはあまりないのですが、そう感じるものなのです。

ここで、ある観念の一式を別の観念の一式と入れ替えたとしても、その人の考え方そのものはひとつも変化していません。単に現実と照らし合わせるデータベースが新しくなっただけです。新たな結論に至ることはあっても、元から用意していたものと現実を比較するという思考プロセスには何の変化もありません。人は、自由に連想し、偏った視点を持ち、自分の正しさを主張し、そのために他者と闘います。その間ずっと、どの瞬間においても、同じ思考プロセスに囚われたままでいるのです。そこには、正確で創造的な新しい考え方が生まれる余地がありません。

考え方を変えるには、トレーニングが必要です。どんな訓練でもそうであるように、それは自然にできることではありません。直観や本能と相容れないようにも感じられるでしょう。けれども、有益な訓練とはおしなべてそういうものです。読むこと、書くこと、チェロを弾くこと、スフレをつくること。どれも直観や本能でできることではありません。

構造思考は非常に特殊な領域です。構造思考を要する伝統領域は極めて少なく、従って構造的な考え方が組み込まれて育った人はほとんどいません。明らかに構造思考を要する伝統領域はあります。音楽、建築、脚本制作、数学、ある種の工学がそうです。ただ、これらの分野で教育や訓練を積んだ人であっても、その特定分野に取り組むとき以外に構造思考を用いることは稀です。

思考は、人間が持つもっとも重要な能力の一つです。何かを判断する際の最大の拠り所は思考であり、どんな判断をするかによって人生の道筋の多くが形づくられていきます。にもかかわらず、多くの人が、成否を分ける構造力学を考慮することなく、重大な判断をしているのです。

誰でも考えていて、だからやり方は知っていると思い込んでいます。しかしその前提は間違いです。学校教育で学んでこなかったことがある、ということを知ってください。適切な指南や訓練なしには、心は暴走し、勝手な推論や憶測を持ち出したり、過去の経験の記憶に寄りかかったりして結論を出してしまうことを知ってください。人の心の中はあれこれのガラクタで埋め尽くされていて、明晰さは希少品です。

構造思考の本質を学びたい方は秋に開催するオンラインコースでお会いしましょう。


ロバート・フリッツ

ロバート・フリッツ

クリエイティブプロセスの領域から構造力学を30年以上研究・発展させ、組織、ビジネス、マネジメントの領域へと広げた。ピーター・センゲ、チャーリー・キーファー、デイヴィッド・ピーター・ストローとともに、イノベーション・アソシエイツ社の共同創立者でもある。1970年代半ばに、創り出すプロセスを個人の生産性向上のために役立てるトレーニングコースを開始。これまでにフリッツのコースを受講した人は、世界中で8万人を超えている。構造がいかに人間の行動に影響を及ぼすのかについて記した最初の著書『The Path of Least Resistance』(未邦訳)は世界的ベストセラーとなった。コンサルタントとしても多くの組織が構造思考を実践できるように支援しており、顧客企業はフォーチュン500の企業から多数の中規模企業、政府団体や非営利組織にまで及ぶ。映像作家でもあり、監督としてまた脚本家として、映画やドキュメンタリー、ショートドラマを製作しており、その映像作品は世界各地の映画祭でこれまでに90以上の賞を受けている。

ロザリンド・フリッツ

60〜70年代ロンドンで歌手としてキャリアを築き、ヨーロッパのチャートでポップヒットを記録し多くのテレビ番組に出演した。その後、人の発達や支援に関心を持ち、独自の心理療法や呼吸法を開発するに至る。1985年にロバート・フリッツと出会い、ロバートの会社のイギリス拠点を運営。アメリカに移住し、ロバートと結婚。現在は構造思考コンサルタントの育成・認証プログラムを担当し、北米や欧州を中心にワークショップをリードしている。個人またはカップル向けの構造コンサルティングセッションを提供している。

主催者/通訳・ 田村 洋一

組織開発ファシリテーター。企業人教育、エグゼクティブコーチング、企業組織でのコンサルティングの豊富な実践経験と、多くの優れた教育家・コーチ・コンサルタントから学んだ経験を持つ。日本、欧州、アジア、アメリカで大小さまざまなプロジェクトのマネジメント、国際的活動に携わるうえで、ファシリテーションの多様なスタイルと方法論を駆使している。システム思考実践研究会 (STARクラブ)主宰。『自意識(アイデンティティ)と創り出す思考』監訳者、『偉大な組織の最小抵抗経路』訳者。

主な著書に『組織の「当たり前」を変える』(ファーストプレス)、『プロファシリテーターのどんな話もまとまる技術』(クロスメディア・パブリッシング)、『ディベート道場―思考と対話の稽古』。共著書に『組織開発ハンドブック』(東洋経済新報社)、『不確実な世界を確実に生きる―カネヴィンフレームワークへの招待』(Evolving)などがある。

お問い合わせ

STARクラブ事務局
santafeupdate@gmail.com

フォローアップコース

ロバート・フリッツのワークショップを受講された方向けのフォローアップコースを後日開催します。